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「あの件、どこでしたっけ」をなくす社内相談AI ― 答えが数人に集中する仕組みを変える

「あの件、どこでしたっけ」が、今日も同じ数人のところへ届いている

金曜の午後、総務の方の席に、また似たような相談が届きます。「取引先との会食って経費で落とせましたっけ。事前の申請って要るんでしたっけ」。同じような質問は、先月も、その前の月にもありました。答えるほうも、たぶん三度目です(ここで挙げる例は、様子を思い浮かべていただくための架空のものです)。

不思議なのは、その答えが、社内のどこかにちゃんと書いてあることです。経費の規程にも、過去のメールにも、いつかの議事録にも、たしかに載っています。それでも社員は、探すより先に、詳しい人に聞きます。理由は単純で、どの資料に書いてあるのか、どれが最新版なのかが分からないからです。自分で探す時間より、聞いたほうが早い。だから聞きます。

こうして、社内の質問は自然と同じ人のところへ集まっていきます。経理のことはあの人、契約のことはこの人、現場のルールはあの人。頼りにされているという意味では、悪いことではありません。けれど、その人の一日は、自分の仕事の合間に、細切れの質問対応がいくつも挟まる形になっていきます。そして、その人が休んだ日には、答えられる人がいなくなって、小さな判断があちこちで止まります。「あの人がいないと分からない」という状態は、思っているより多くの場面で、会社の動きを静かに遅くしています。

問題は聞く側ではなく、答えが数人に集中する仕組みのほうにあります

こういう様子を見ると、つい「聞く前に、まず自分で調べてほしい」と思ってしまいます。けれど、責めるべきは聞く側ではないと感じます。資料はあるのに場所が分からないのですから、聞くのはむしろ自然なことです。本当の問題は、答えがいつも同じ数人に集中してしまう、その仕組みのほうにあります。

この仕組みには、目に見えにくい負担が二つあります。一つは、答える側の中断です。集中して進めたい仕事の途中で質問が届き、手を止めて調べ、答えて、また元の仕事に頭を戻す。たとえば、見積もりを詰めている最中に「あの申請はどこからでしたっけ」と声がかかり、資料の場所を確かめ、ひと言ふた言そえて、また見積もりの続きに戻る。一回ずつは数分でも、それが一日に何度も重なると、まとまった時間で考える仕事がしにくくなります。しかも、この消耗は数字に表れないので、まわりからは気づかれにくいものです。

もう一つの負担は、聞かなかった人のほうにあります。忙しそうだから、こんな初歩的なことを聞くのは気が引けるから、と遠慮して、自己流で進めてしまう。その多くは問題なく流れていきますが、ときどき、申請の抜けや手続きの取り違えとして、あとから戻ってきます。聞くことの負担と、聞かないことで生まれる危うさ。この両方が、答えが数人に集中しているという一つの仕組みから生まれています。

AIは、根拠を添えて答え、分からないことは分からないと言います

ここでAIにやってもらいたいのは、詳しい人の代わりに、社内の資料を横断して探し、根拠を添えて答えることです。社員が「会食は経費で落とせますか」と尋ねると、答えだけでなく、どの文書の、どの箇所に基づいているかまで一緒に返します。たとえば「事前の申請が必要です。根拠は経費規程の第4章で、申請のときに会食の目的を書く欄があります」といった形です。答えの隣に根拠があるので、社員は自分でも確かめられますし、わざわざ詳しい人に取り次ぐ必要もなくなります。

大切なのは、何でも答えるAIにしないことです。ここには、守っておきたい線がいくつかあります。一つ、その社員に見る権限のない文書の中身は出さないこと。二つ、根拠になる文書が見つからないときは、推測で埋めずに「確認が必要です」と正直に返すこと。三つ、古い規程と新しい規程が食い違っているときは、勝手に混ぜず、最新版はどれかをはっきり示すこと。この三つを守るだけで、AIの答えは「たぶん」ではなく「ここに書いてあります」に変わります。

そして、AIが答えきれない質問には、担当者へ確認を回す道をあらかじめ用意しておきます。条項の変更がからむ契約の話や、例外の判断が要る場面では、無理にAIが結論を出さず、法務や経理の担当につなぎます。そのときも、ただ「分かりません」で終えるのではなく、どの部署の誰に、何を確認すればよいかまで添えます。社員は、次にどこへ行けばよいかで迷わずに済みます。分からないことを分からないと言えて、正しい人に渡せること。これは、うまく答えられることと同じくらい、信頼される社内AIの条件だと思います。

最初の一週間は、よくある質問を10個並べることから始めます

こう聞くと、まず全社の資料を整理しなければ、と身構えてしまうかもしれません。でも、そこから始めると、たいてい途中で力尽きます。おすすめしているのは、逆から入ることです。最初の一週間は、社員からよく聞かれる質問を10個ほど集めて、その答えの根拠になる文書を横に並べる。やることは、ひとまずこれだけです。

たとえば、経費の申請、勤怠の締め、契約書の確認手順、情報の取り扱い。質問が多くて、答えが比較的はっきりしている領域から選ぶのがこつです。質問と、根拠になる文書と、正しい答えが10組そろえば、AIはもう働きはじめられます。全社の資料が片づくのを待つ必要はありません。よく聞かれるところから、小さく灯をともしていくようなイメージです。

この進め方のいちばん良いところは、使いながら育っていくことです。AIが答えられなかった質問は、そのまま「次に用意すべきFAQ」の一覧になります。答えの根拠が見つからなかったところには、そもそも社内に文書がなかったり、古い版が残っていたりする問題が隠れています。答えられない質問が見えるほど、次に何を整えればよいかがはっきりする。資料を完璧にしてから使うのではなく、使いながら資料を整えていく順番です。はじめの10個が、翌週にはもう少し増え、そのまた翌週には、その会社でよく交わされる質問の地図のようになっていきます。

詳しい人の時間が、本来の仕事に戻っていく

この仕組みがうまく回りはじめると、いちばん変わるのは、質問が集まっていた数人の時間です。同じ質問への三度目の返答から解放されて、その人にしかできない仕事に、まとまった頭を使えるようになります。会社にとっては、答えられる人がひとりに偏っている状態がゆるみ、その人が休んでも小さな判断が止まらなくなる、ということでもあります。

聞く側にとっても、気兼ねが減ります。忙しそうな人をつかまえなくても、根拠つきの答えがその場で返ってくるなら、遠慮して自己流で進めてしまうことも少なくなります。聞くことの負担と、聞かないことの危うさ。その両方が、同じ一つの仕組みで少しずつ軽くなっていきます。

実際に、社員の質問にAIが根拠を添えて答え、答えきれないものは担当者へ回し、答えられなかった質問が改善の一覧に積み上がっていく様子は、デモ画面でひと通りご覧いただけます。根拠になった文書を開いて確かめるところから、担当者確認に回すところまで、順番に動く形で見ていただけます。

もし御社でも、同じ質問が同じ人のところへ何度も届いているようでしたら、いちど、その「よく聞かれる質問」を一緒に書き出すところから始められます。「どこから手をつければよいか分からない」という段階でも構いません。御社で実際に繰り返されている質問に即して、どこから答えを預けられそうかを、具体的にお話しできればと思います。

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  • 社内相談AIのデモ — 入力、AI整理、社長確認、人間の判断範囲を画面で確認できます。

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